マンションや団地、商業ビルなどで築年数が経つにつれ、排水管の劣化や寿命について心配や疑問があるのではないでしょうか。
この記事では、排水管の種類、材質、寿命、交換時期、工事方法、費用などについて詳しくご紹介します。
1.排水管の種類
雑排水管
キッチン・お風呂・洗面所・洗濯機から排水した水を流す管。
汚水管
トイレから排水した水を流す管。
2.排水管の材質と寿命
配管用炭素鋼鋼管(約30年)
昭和50年代頃まで雑排水管で使われていたのが配管用炭素鋼鋼管です。白ガス管・SGP管・鉄管とも呼ばれています。
鋼管の内外面に亜鉛メッキが施されているだけなので、管内にサビが発生したり内外面ともに腐食が生じます。
継手はドレネージ継手によるネジ接合でネジ切り部分は半分程度の肉厚しかないので腐食減肉による漏水が起きます。
アルファ鋼管(25~30年)
排水管炭素鋼鋼管の腐食問題への対応とマンションブームによる施工省力化の要請を受けて登場した排水用塩化ビニルコーティング鋼管です。
鋼管を肉薄にして軽量化し、ネジ接合ではなく差し込み継手にしています。
防錆処理として内外面に塩化ビニル樹脂を被覆しておりますが、密着性が良くなく25年以上経つと被覆が剥がれ露出された鉄部に穴が開き漏水が発生します。
その後耐火二層管などより優れた管の普及により現在では使用されなくなりました。
耐火二層管(25~30年)
アルファ鋼管の後に普及した管が耐火二層管です。外層は繊維混入セメントモルタル、内層は硬質ポリ塩化ビニル管の二層構造からなる管です。
セメントモルタル管は気候変動や耐火性と耐熱性に優れておりますが、柔軟性と耐衝撃性に欠きます。
硬質ポリ塩化ビニル管は気候変動や腐食に強く柔軟性や耐火性に優れているが耐熱性と耐衝撃性に欠きます。
セメントモルタルと硬質ポリ塩化ビニルでお互いのデメリットを補っていますが、耐衝撃性に関しては弱いです。
鋳鉄管(35~40年)
昔から汚水管に使用されている管が鋳鉄管です。鋳型に溶かした鉄を流し込んで製造する鋳鉄製の管です。1953年頃からはより優れたダクタイル鋳鉄管が普及されました。
ダクタイル鋳鉄管は強度や耐久性が高く衝撃に強く施工性が良いですが、重量が重く防食面に損傷を受けると腐食しやすいといったデメリットもあります。
3.排水管の交換・補修時期
1985年頃までに建てられた建物の雑排水管に使われていた管は配管用炭素鋼鋼管(白ガス管、黒ガス管、SGP管、鉄管と呼ばれる)、汚水管に使われていた管は排水用鋳鉄管でした。
その後、アルファ―管や硬質ポリ塩化ビニル管と使われる管種が変更していき、現在では配管用炭素鋼鋼管や鋳鉄管は使われなくなりました。
■配管用炭素鋼鋼管や鋳鉄管が使われなくなった要因
配管用炭素鋼鋼管や鋳鉄管が使われなくなった要因は、老朽化によるサビの発生、それによる詰まりや管に穴が開き漏水するなどの被害があるからです。
どちらも鉄管ですので耐久年数は約30年、長くても40年程度です。
20年程経つと管にサビが発生し詰まりや漏水の原因になります。マンションやビルなどでその都度修理をしても次から次へと修理箇所が増えていくでしょう。
費用や手間がかさむので、早めに大規模修繕を検討してください。
1990年より前に建築された建物は排水管の寿命が来ているため交換または補修をしましょう。
4.排水管の交換・修理方法
更新工事(取り換え工事)
更新工事は管を新しく取り替える工法です。
昔からある工法で古くなった管を切断して取り外し新しい管に取り替えます。最近は技術の進歩により、既にコーティングされた管があり、更新する際はこのコーティング管を使用するので交換後、錆の発生や腐食がしにくくなっています。
更新工事後の耐久年数は40年~50年程度です。
更生工事(ライニング工事)
更生工事とは既存管の内側をコーティングする工事です。ライニング工事とも言います。
既存管の内側をコーティングすることで錆の発生や腐食を防ぎます。
従来の工法は既存管の内側に樹脂を吹き付けてコーティングする塗布ライニングでしたが、現在はFRPを使用する塗布ライニングより優れた工法があります。
更生工事後の耐久年数は工法により変わりますが、塗布ライニングで約10年、FRPを使用する工法で約40年程度です。
更生工事の詳しい工法については下記の資料を見ていただくとわかります。
排水管更生工事の工法に関する無料資料をダウンロードする
下記に更新工事と更生工事の比較を書いた記事があるので是非ご覧ください。
排水管補修方法と工法別比較 | 扇矢工事株式会社 (ougiyakouji.co.jp)
5.排水管工事の費用目安
修理費用は工事の規模や場所、方法によって大きく変わります。
更新工事(取り換え工事)・・・1戸当たり30~70万円
更生工事(ライニング工事)・・・1戸当たり20~40万円
上記の金額は共用部のみの金額です。
更新工事の方が壁開口する面積が増えるためその分建築費用が高くなります。
また建物すべての配管を補修する場合は施工日数も更新工事の方が長くなるので費用が高くなります。
更新工事は更生工事の1.5倍~2.5倍くらいの金額と考えてください。
あくまでも目安なので実際の金額を知りたい方は業者に見積もりを取ってください。
6.排水管工事業者の選び方
まずは複数の補修工法の見積を取りましょう。
基本的には『塗布ライニング』・『FRPを使用するライニング』・『更新工事』の3種類の工法の見積もりを取ると良いです。
1社でこの内の2工法施工できる業者や3工法すべて施工できる業者もあります。
ライニング工事を依頼する場合はまず工法確認をしましょう。複数の業者の見積もりを比較して1社だけ安いところがあってもそれは塗布だけの場合があります。(FRPを使用しない分塗布ライニングは安価になります)
専有部と共用部の配管で施工内容を変えたい場合などは様々な施工方法が可能な業者を選ぶと工事もまとめて行えますし費用も抑えられます。
7.排水管工事の注意点
まずはどの程度まで排水管を補修したいのか決めます。
補修はしたいけど5年後10年後に建物を建て替える考えがあれば一番費用が抑えられる塗布ライニングでも良いと思います。建て替える予定がない場合は更新工事やFRPを使用する耐久性の高い更生工事をオススメします。
最近部屋をリフォームやリノベーションをして壁に穴を開けたくない場合や費用は抑えたいけど耐久性も求めたい場合はFRPを使用する更生工事がオススメです。
塗布ライニングを一度してしまうとほとんどの場合、次回は更新工事をするしか修繕方法がなくなってしまいます。そうなると費用が余計にかかってしまい入居者の方からもまた工事をするのかと不満を持たれることもあります。
8.まとめ
1990年以前に建てられた建物は排水管修理の検討をしてください。排水管は鉄管を使用しており様々な異物を流すため、サビの発生や劣化が著しいです。サビをそのままにしておくと漏水や詰まりの原因になります。配管の修繕をする場合、まずは更生工事を検討してください。築年数が50年以上の建物や管の損傷が激しい場合は更新工事しか補修方法がなくなってしまうので、管の修繕は早めに検討して修繕費用の削減と施工期間を短くしましょう。修理をするか迷っている方はカメラ調査だけでもしてみてください。劣化が酷くなければ高圧洗浄を定期的に行えば数年は長持ちします。災害が起きる前に事前に対処しましょう。
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